中国国家知識産権局商標局は、2026年5月9日付で「商標業務の全面電子化推進に関する公告」を公表しました。本公告は、商標関連手続きをさらに円滑化し、審査・審理の効率化と公共サービスの向上を図ることを目的としています。 日本の出願人や商標権者が中国で手続きを行う際は、現地の商標代理機構(特許・商標事務所)へ委託することが多いため、今後の実務において以下の4点にご留意いただく必要があります。
一、2026年7月1日以降、商標代理機構に委託して手続きを行う場合は、原則として「商標オンラインシステム」を通じて電子データを提出することとなり、従来の紙媒体による資料提出は認められなくなります。
二、本公告の公表日(2026年5月9日)から2026年6月30日までの期間は、完全電子化に向けた「移行期間」(関連手続きの提出日基準)と位置づけられます。 移行期間中、商標代理機構は「商標業務におけるデジタル証拠提出ガイドライン」の要件に基づき、商標オンラインシステムを通じた手続きを優先的に行うことが推奨(要求)されています。
三、公告の公表前にすでに紙媒体で提出された手続きについては、その後の応答(中間処分への対応)や補足資料の提出も、引き続き紙媒体で行うことができます。 現在、商標局ではシステムの改修を進めており、今後、紙媒体のデータを電子データへ変換する機能が提供される予定です。同機能の稼働後は、過去に紙媒体で提出した手続きに関する応答や補足資料についても、商標オンラインシステムを通じて提出することが可能になります。
四、出願人(当事者)または商標代理機構は、商標オンラインシステムでの手続きにおいて不明な点が生じた場合、電話、オンライン掲示板、商標局の受付ホール、または地方の商標案件受付窓口などを通じて問い合わせることができます。 また、手続きが困難な場合は、商標局の受付ホールや地方の商標案件受付窓口へ直接赴くことで、現地の職員によるサポートを受けながら手続きを完了させることができます。
本公告は、特別な事情がない限り、商標代理機構に委託する手続きについては、原則として商標オンラインシステムを利用すべきであると言明しており、対象となる手続きの種類を限定していません。マドリッド協定議定書に基づく国際登録(マドリッド商標)に関連する手続きを含め、現在、商標オンラインシステムで対応可能な業務の多様化が進んでいる現状を踏まえると、将来的には、商標に関するあらゆる手続きにおいて紙媒体による申請が廃止され、電子申請へと完全移行していく可能性が極めて高いと予測されます。
なお、全面的な電子化の実施に伴い、近い将来、商標登録証以外の各種証明書についても紙媒体での発行が廃止されるものと推測されます。ただし、電子証明書は従来の紙媒体と同等の法的効力を有するため、この変更が権利の取得や権利行使に影響を与えることはありません。 商標オンラインシステムを通じた手続きには、官庁費用の割引が適用されるだけでなく、迅速性、利便性、処理効率の向上など多くのメリットがあります。そのため、出願人および権利者の皆様におかれましては、同システムを積極的にご活用いただくことを推奨いたします。